WordPressはエージェンティックウェブに向けた基盤を整えつつあるが、実用的な環境が整うにはエコシステム全体の成熟が必要だ。Miriam Schwab氏がWordCamp US 2026で行った講演は、この現状を端的に表している。同氏の結論は明快で、WordPress 7.0のコアにはAIエージェントと連携するためのAbilities API ↗やMCP Adapter ↗といった土台は存在するが、プラグインのエコシステムがそれに追いついていないというものだ。
エージェンティックウェブへの備えが急務な理由
現在、ウェブトラフィックの半数以上が人間ではなくボットによって占められている。さらに、米国でのGoogle検索の約68%がクリックを伴わずに終了するというデータもあり、従来の検索からサイトへの流入モデルは大きく変化している。ユーザーがAIを介して情報を取得する流れが加速する中で、サイトがAIエージェントに対して適切に情報を提供できなければ、事実上の存在意義が失われるリスクがある。これはコンテンツ制作者にとって無視できない脅威だ。
WordPressコアの整備状況と残された課題
WordPress 7.0から導入されたAbilities APIは、外部のAIエージェントがサイト上で何を実行できるかを定義する仕組みだ。MCP Adapterはそれを外部のエージェントと接続するコネクターとして機能する。しかし、コアに標準搭載されるAbilityは3つにとどまり、実際の運用には大きく不足している。Schwab氏は自サイトのために独自のプラグインを開発し、WordPress REST API全体をAbilityとしてラップすることでこの制約を克服した。これは個人の技術力に依存する現状を示しており、一般のユーザーが同様の環境を構築するのは容易ではない。
エージェント対応の本質と今後の展望
エージェント対応とは、単にAIにコンテンツを読ませることではない。検索への索引登録、質問への回答のための情報抽出、そして実際の購入や予約といった行為の実行という3つのレイヤーを区別して考える必要がある。robots.txtでのContent Signals ↗のような仕組みを使えば、学習の許可と検索利用の許可を分離して制御できる。AIにすべてを開放するか完全に遮断するかの二者択一ではなく、自らの条件を設定することが重要だ。WordPressコアがインフラを提供した今、プラグイン開発者コミュニティーが実用的なAbilityを充実させることで、真のエージェンティックウェブへの対応が進むだろう。
WordPress is ready for the agentic web, but our ecosystem isn’t ↗