Chrome 150は、2026年6月30日に安定版として公開されたバージョンであり、多数のセキュリティー修正と、CSS、DOM、PWA周りの機能強化が含まれている。このリリースは、ブラウザーの安全性を高めつつ、開発者がより宣言的で保守しやすいコードを書けるようにする方向性を強く打ち出している。
CSS表現力の向上とレイアウト制御
Chrome 150ではCSSの表現力が大きく向上している。text-fitプロパティーにより、テキストを包含ボックスの幅に自動フィットさせることが可能になり、レスポンシブなタイポグラフィーをJavaScriptなしで実現できる。また、flex-wrap: balanceによってフレックスライン間のコンテンツバランスを調整でき、複数行レイアウトの見栄えが改善される。background-clip: border-areaが追加されたことで、グラデーションボーダーをネイティブに作成しやすくなり、これまでborder-imageなどの回避策が必要だった表現が不要になる。これらの変更は、デザイン意図をより直接的にCSSで表現できることを意味し、将来的なメンテナンスコストの低減につながる。
DOMとアクセシビリティーの改善
DOM側では、focusgroup属性が導入され、矢印キーによるナビゲーションや最後にフォーカスした位置の記憶などを宣言的に指定できるようになった。これにより、従来JavaScriptで実装していたロービング・タブインデックス相当の挙動を、よりシンプルなマークアップで表現できる。また、スクロール関連メソッドがPromiseを返すようになり、スクロール完了後の処理を非同期に扱いやすくなった。これらの変更は、キーボード操作やスクリーンリーダー利用時の操作性向上に寄与し、アクセシビリティーと開発効率の両面でメリットがある。
PWAとセキュリティー面の強化
PWAでは、同一サイト内で新しいオリジンへシームレスに移行する仕組みが導入され、アプリケーションのリブランディングやドメイン変更時の移行コストを下げる効果が期待できる。セキュリティー面では、data:URLを扱うワーカーのオリジンを独立させ、不透明なオリジンとして扱う変更が行われた。これにより、data:URL経由での意図しない情報漏洩リスクが低減される。加えて、Chrome 150では433件のセキュリティー修正が含まれており、ANGLEやGPU、拡張機能などで複数のクリティカルな脆弱性が修正されている。特にANGLEの入力検証不備に対する高額な報奨金の事例からも、グラフィックスパイプラインの安全性向上が重視されていることがわかる。
Chrome 150は、セキュリティー面の強化と並行して、CSS、DOM、PWAの表現力と宣言性を高める方向に進んでいる。開発者は、新機能を活用することで、よりアクセシブルで保守しやすいウェブアプリケーションを構築できるようになる一方、data:URLの扱いなど一部の挙動変更には注意が必要である。
Stable Channel Update for Desktop ↗
Chrome 150 ↗
Chrome 150 の新機能 ↗