Gutenberg 23.1リリース——画像アップロードの高速化と新しいUIプリミティブが登場
画像アップロードが体感できるほど速くなった
Gutenberg 23.1の最大の変化は、画像アップロードの完了速度にある。これまでサムネイルの生成(サイドロード)は1件ずつ順番に処理されていたが、今リリースから既存の並列処理の上限内で同時実行されるようになった。
この改善が特に効果を発揮するのは、ギャラリーブロックでの一括アップロード、解像度の高いオリジナル画像、そして接続速度が遅い環境だ。投稿にいくつもの写真を貼り付けるブロガーや、商品画像を大量に管理するEコマースサイトの運営者にとって、日常的なストレスが軽減される実践的な改善といえる。
@wordpress/uiに2つの新しいプリミティブが追加
DrawerとAutocompleteの登場
@wordpress/uiパッケージは、WordPressの管理画面やブロックエディター向けのUIコンポーネントライブラリーだ。今回のリリースでは2つの新しいプリミティブが加わった。
Drawerはスライドインするサイドパネルやボトムシートを実装するためのコンポーネントで、モーダルほど画面を占有せず、サブパネルを表示したい場面に適している。Autocompleteはコンボボックス形式の入力フォームを構築するための低レベルプリミティブで、柔軟な検索・補完UIの基盤として機能する。
オーバーレイコンポーネントの整備
既存のDialogコンポーネントにも改善が加えられた。新たにDescriptionサブコンポーネントが追加され、スペーシングとタイポグラフィーがDrawerとの整合性をとるかたちで調整されている。またDialog、AlertDialog、Drawerはいずれもコンテンツが縦方向にスクロールする際に、ヘッダーとフッターを固定表示できるようになった。
これらのオーバーレイコンポーネントにはポータリング動作をカスタマイズするためのportalプロップも追加された。UIの一貫性とカスタマイズ性の両立という方向性が、着実に実装に反映されている。
注目の実験的機能
PHPを書かずにカスタムタクソノミーを管理
「Content types: manage custom taxonomies」実験を有効にすると、WordPress管理画面の「設定 → Taxonomies」にカスタムタクソノミーの作成・編集・削除ができる新しい画面が現れる。これまではPHPのコードを書くか専用のプラグインを使うしかなかった操作が、GUIで完結する。WordPressがコンテンツ管理のノーコード化を進めていることを象徴する取り組みだ。
画像エディターモーダルでフリーフォームクロップ
「Media Editor Modal」実験では、ブロックエディター内に画像操作専用のモーダルが表示されるようになる。現時点ではImageブロックとSite Logoブロックのツールバーにある「クロップ」アイコンから起動でき、自由なアスペクト比でのトリミングやズーム調整といった機能が使える。メディアライブラリーから離れることなく画像を加工できる流れが整いつつある。
Classicブロックをインサーターから非表示に
「TinyMCEを無効化する」として準備されていた実験が方針転換し、ClassicブロックをブロックインサーターのUIから非表示にする実装として着地した。既存のClassicブロックのインスタンスは引き続き動作するが、新しく挿入することはできなくなる。wp_classic_block_supports_inserterフィルターで動作を制御できるため、移行期間中の柔軟な対応が可能だ。
リアルタイムコラボレーションの信頼性向上
RTCまわりの複数の不具合が修正された。同期ルーム数がサーバーの上限を超えた際に表示されていた「接続が切断されました」ダイアログが不要に表示される問題、大きなYjsアップデートが拒否される原因となっていたサイズチェックのズレ、2人のオフラインユーザーが同時に再接続したときに状態が分岐してしまう問題などが解決している。なお、RTCそのものはWordPress 7.0への搭載が見送られることが別途アナウンスされており、品質の作り込みはその後の正式リリースに向けて継続される。
Gutenberg 23.1は派手な機能追加より「土台を固める」リリースという印象が強い。画像アップロードの高速化は地味ながら実用的で、毎日コンテンツを更新するサイト管理者には即効性がある。
一方で実験的機能に目を向けると、カスタムタクソノミー管理のGUI化は特に注目に値する。情報設計に関わる操作をPHPなしで完結できるようになれば、これまでエンジニアに依頼せざるを得なかった運用の変更をコンテンツ担当者が自走できるようになる。WordPress本来の「誰でも使える」という思想が、より高度な機能領域にまで拡張されていく兆しだ。
@wordpress/gridパッケージのデベロッパープレビューも見逃せない。ドラッグ&ドロップで並べ替えやリサイズができる2次元グリッドコンポーネントは、ダッシュボード型のレイアウトをWordPressの文脈で実現する土台になり得る。APIはまだ変化すると明記されているが、今後のWordPressの管理画面デザインを考える上での布石として追いかける価値がある。